猫の腫瘍、特に胸腺部に形成される腫瘍は100%悪性とされる。今回、左側第1、2乳頭部に形成された腫瘍の摘出手術を行った。組織学的に完全切除とされたが、術後3週間後に米粒大の再発を認めた。この為、レーザー治療を行う事により、再手術及び抗がん剤の投与を回避できた。また、転移も防ぐ事が出来た。
手術時の所見
直径約5cmの楕円形の腫瘍である。幸いにも全身への転移は認められなかった。
術部後位の波状の病巣
波状に拡大する病変が確認される。リンパ向性に浸潤事を予想される所見です。広く摘出した。
再発時に用いた色素剤
色素剤を点滴静注する事で、病巣部に集まる特性を生かした治療法である。レーザー照射の熱を細胞内に特異的に取り込み、細胞を死滅させる。
色素剤の投与
その投与には、約1時間を要する。オーナーが隣にいる事で、大人しくさせてくれた。
色素剤の持続注入
色素剤8ccを1時間かけて投与する。副作用は全く認められない。この後、レーザー照射を行う。抗癌剤や放射線治療と異なり、副作用や全身麻酔の必要性は無く行える。静脈注射の為に、ルートの確保が限られるため回数が限定されるが非常に有用な治療法である。


