5年前より近医にて治療されていた。重症筋無力症の疑いとの事であったが、確定診断されていなかった。
初診時
頭の筋肉の重度の萎縮が認められる。自己免疫性疾患のひとつである。頭筋の重度の炎症がおこり、慢性化により萎縮する。眼は落ち込み、目やにがひどい。
側頭の所見
重度の筋肉の萎縮により、頬骨が飛び出して見える。長期の経過を物語っている。慢性の嘔吐も存在していたが、嘔吐止めの薬が処方されていたのみであった。嘔吐の原因は巨大食道症であった。
体部の所見
体部は全くストレスの無い健康な姿をしている。重症筋無力症は全身の筋肉を犯す為、外貌のみで除外される。また、飲水もままならない。巨大食道症が5年以上放置されていた為、著しい食道潰瘍が形成された。免疫療法開始直後より嘔吐は止まり、頭筋の萎縮も改善されて来た。しかし、4週間後に突然の食道潰瘍からの大量出血により、急死した。せめて1年早ければと悔やまれる症例であった。