数年前より右下口唇部に腫瘤物が形成され、徐々に大きくなってきたとのことで来院した。近医にて治療を受けるも、出血などの症状が悪化した。局所麻酔下にてレーザーメスを用いて腫瘍の切除手術を行い、同時に凍結手術を行った。
初診時病変部の全体像
右口唇部全域に渡り腫瘤の形成が認められる。レーザーメスを用いての切除手術と同時に凍結手術を行った。
術後7日後の全体像
切除、凍結手術後陥没し表皮の無い肉芽様の所見が確認される。しかし、浸出液の浸潤や、出血は認められない。乾いている!
術後23日後の全体像
肉芽腫様を呈していた病変部は、僅かな部分を残して(黄色矢印)皮膚表皮の再生が確認される。凍結手術の圧倒的な治療威力である。
腫瘤の組織検査所見
残念ながら、組織検査は最悪であった。非常に悪性度の高い腫瘍であった。しかし術後局所の再発は無く、食欲も有り、元気に生活を送っている。投薬にてどこまで全身症状を抑えこめるか。高齢と言う事もあり、オーナーは抗癌治療を望まなかった。